>風邪だと思っていたら急性腎炎

小学校3年生の時、たまたま風邪をこじらせたのでいつも診て頂いている診療所に行きました。恐らくただの風邪でしょうとの事でしたが、一応血液検査と尿検査をする事になり、その日は採血と検尿をして薬を貰い帰りました。4日後、診療所から急に連絡があり(1週間後に来院予定していたのですが)「タンパクの数値が異常に高いので急遽大きな病院で検査して下さい!」と言われ、診療所から紹介状を貰い、市の大きな大学病院で再検査する事になりました。検査結果で、やはり尿タンパクの異常が見つかり「急性腎炎」の疑いで即日入院になりました。

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紹介された大学病院では診療所の尿検査とは違い、尿道に直接管を通して尿を取る検査をしました。大学病院での検査結果を聞いたあと、先生の話では尿タンパクの値を下げなければいけない事、クレアチニンの値も正常ではない事など、今の私の状態は一生付き合っていかなくてはいけない「慢性腎炎」とは異なり、一時的に腎臓が弱っているであろう「急性腎炎」の疑いがあると告げられました。

病院の徹底された塩分をかなり抑えた食事療法と投薬治療で2ヶ月入院して様子を見ましょうとの事でした。丁度小学校も夏休みに差し掛かる前だったので、早いほうがいいとの事で、私は看護師さんに入院する部屋に連れていかれ、母は入院の準備のために一旦家に戻りました。
急性腎炎の疑いで入院していたので、とにかく病院食が美味しくないんです。美味しくないというか味がほとんどしません、塩分をかなり抑えた献立になっているので。ほうれん草のお浸しなんて醤油は一切かかってなくて鰹節のみ、煮物も煮魚もとにかく色も薄いし味も薄いので、それまで濃い目の味付けに慣れていた私は食べられなくなってしまいました。それを見た母が、これは絶対駄目だと今は思うのですが、薄めたお醤油や味の素などを隠れて持ち込んで、食事の時はちょこっとかけてくれました。

こんな事バレたら絶対怒られる・・・と思っていた次の日の朝、私は4人部屋に入院していたのですが、私の前のベッドに入院していた中学生のお姉さんがガサゴソとトースターを出してきて朝食のパンを焼き始めたんです!びっくりして見ていると今度は焼きあがったパンにバターを塗っている・・・目がテンになって見ていると、そのお姉さんは「こんな味のしないパン、焼いてバター塗らないと食べられないよ!」と笑っていました。私のちょっぴりのお醤油なんて何てことないのだと笑えてきました。

私の入院していた病棟はめちゃくちゃ古かったので、それは怖い雰囲気もバリバリありまして、夜の9時消灯のあとは本当にシーンと聞こえるくらい静かになるのが怖かったです。トイレも怖くて仕方なかったのですが、腎臓病の患者さんは自分のしたおしっこを一切便器に流すことなく、トイレに入る時は紙コップを持って全部尿を取り、そしてその紙コップを持ってトイレ奥に置いてある自分の名前の書かれた巨大シリンダーに入れるのですが、その奥に行くのも怖くて怖くて。夜がとにかく苦手でした。廊下を誰かが歩く音や水滴が落ちる音などが響くのでそのたびにびくびくしていました。

それと私の入院する部屋から1人、急に退院した子が居ました。私が入院してまだ日が浅かったと思いますが、母にいつもあそこに居た子はどこに行ったのかを聞くと小さな声で「退院したんだよ、でも周りの人にはいろいろ言っちゃ駄目だよ」と言われました。当時はただ退院しただけだと思っていましたが、退院の時は小児病棟の入り口で看護師さんみんなが見送ってくれるんですね、その子はそういう事もなかった、少ししてそうだったんだなぁと知りました。短期間の入院でしたが色々なことを学びました。